『ターミネーター2』正統続編、ジョン・コナー再登場の真相 エドワード・ファーロングが指摘した問題点【来日インタビュー】

映画『ターミネーター2』(1991)のジョン・コナー役で一世を風靡したエドワード・ファーロング(47)が、インテックス大阪で開催中のポップカルチャーの祭典「大阪コミコン2025」のセレブゲストとして来日した。ファンとのサイン会&撮影会の合間を縫ってファーロングがインタビューに応じ、来年35周年を迎える『ターミネーター2』の思い出や、正統続編『ターミネーター:ニュー・フェイト』(2019)で再登場したジョン・コナーに関する真相を語った。
【画像】超美少年…『ターミネーター2』当時のエドワード・ファーロング
シリーズの生みの親であるジェームズ・キャメロン監督がメガホンを取った本作は、最初のターミネーター出現から10年後を舞台に、人類抵抗軍のリーダーとなる少年ジョン・コナー(エドワード)を守るターミネーター・T-800(アーノルド・シュワルツェネッガー)と、彼を抹殺するために送り込まれた新型・T-1000(ロバート・パトリック)の死闘を描いたSFアクション。シリーズ屈指の人気作として、今なお多くのファンに愛されている。
同作でスクリーンデビューを果たしたファーロングは、『ターミネーター2』を「人生において本当に大きな存在」と表現する。「47歳になった今でも、ほぼ毎日のようにこの映画の話をしてるんだ。当時から、大きな作品になるとはわかっていたが、まさか人生にずっと関わってくるような存在になるなんて思ってもみなかったよ。それまで、演技なんて一度もしたことがなかった。人生を根底から変えてくれたし、それ以降の自分の道を決定づけた作品だ」
ジョン・コナーとしての撮影初日は、「絶対に忘れられない」とファーロングは話す。「あの日は本当にクレイジーだった。映画の撮影現場なんて見たこともなかったし、自分がそこにいるなんて信じられなかった。全てが初めての経験で、多くのことを学んだ。撮影現場に着いた時、ライトやカメラが目の前にあり『何てところに足を突っ込んじまったんだ?』と思ったよ。最初の何か月間は『クビにならないよな?』とずっと心配していたよ(笑)」

新人のファーロングは、主演のシュワルツェネッガーの振る舞いや姿勢から「映画の撮影現場でどうあるべきか」を学んだという。「彼のプロフェッショナリズムやカリスマ性はすごく印象に残っているよ。本当に多くのことを学んだ。それらは、自分のキャリアに影響を与え続けている。アーノルドはすごく気さくで、誰に対してもフレンドリーだった。役職も関係なく、全員に優しくてクールな人だった」
それから28年後、キャメロン監督が製作で参加した正統続編『ターミネーター:ニュー・フェイト』が誕生し、サラ・コナー(リンダ・ハミルトン)と共にジョン・コナーも再登場を果たした。しかし、ジョンは冒頭でT-800によって殺されてしまい、多くのファンを動揺させた。ファーロングも映画公開後、ジョンの扱いについて「あれはガッカリだよ」と回答していた。
衝撃展開の裏で、一体何が起きていたのか? オファー当時の状況を聞いてみると、ファーロングは「最初に『新しいターミネーター映画の話がある』と言われて、その後『13~14歳のジョン・コナーを演じてもらいます。そして、冒頭で撃たれます』と聞かされた。『あぁ……そういうことか』ってなったよ(笑)」と打ち明ける。
「正直ガッカリしたし、ファンにどう受け止められるのか不安だったね。『エイリアン3』のニュート(注:『エイリアン2』で生存するも『3』の冒頭でまさかの退場)みたいに、『なぜそんな展開に?』と思われる気がした。だが、長い目で見れば、あの作品に再び関われたことが嬉しかったんだ。実は『ターミネーター3』(2003)に出る予定があったが、薬物問題で全部ぶち壊してしまった。だからこそ、あの形でも再びジョン・コナーとして関われたのは、ありがたいことだったんだ。撃たれ役だったが、それでも『戻ってきてくれて、ありがとう』と言いたかった」
『ニュー・フェイト』に登場したジョン・コナーは、デジタル技術によって『ターミネーター2』当時のビジュアルが再現された。ファーロングは、1日だけ撮影現場に入ったといい「変な感じだったよ。ビデオゲームみたいな体験だった」と感想を語る。「リンダはいなかったから、モニター越しに彼女の演技を見ながら、セリフのタイミングに合わせて動くシュールな状況だった。椅子に座り、顔のドアップを撮られながら、画面を見て反応する難しい撮影だったよ。でも、完成した映像を観た時は驚いた。以前、似たような若返りCGを使った映画を観て正直ちょっと変だなと思ったが、『ニュー・フェイト』はすごく自然に仕上がっていたよ」

新3部作の第1弾とされた『ニュー・フェイト』の評価は散々で、興行でも大苦戦を強いられた。3部作化は白紙になり、メガホンを取ったティム・ミラー監督は「私が間違っていた」と失敗を認める発言をしたり、製作に回ったキャメロン監督もシュワルツェネッガーの復帰は間違いだったと認めている。ファーロングも「もし、あの映画がもっとヒットしていたら、シリーズは続いたかもしれない。残念ながら、そうはならなかった」と残念そうに語る。
『ターミネーター2』後、キャメロン監督はシリーズを離脱し、以降は毎作違う監督が手がけている。ファーロングは、「キャメロン監督の不在」こそが過去作における最大の問題点だと指摘した。「ジム(キャメロン監督)以外に『ターミネーター』を本当に理解して作れる人はいないと思う。だから、もし彼が(次回作を)監督するなら、絶対に素晴らしい作品になるに違いない」
キャメロン監督は2022年、『ターミネーター』の再リブートをほのめかす発言をしていた。ファーロングは「その噂は聞いたことあるよ。本当にどうなるのかは、わからない。ジムは全く新しいことをやりたいと言っていたそうだが、詳細は聞いてない」としながら、キャメロン監督から出演オファーが届いたら「絶対にやりたい! またジムと一緒に仕事ができたら最高だし、そうなったら本当に夢のようなことだ」とジョン・コナー再演に前向きな姿勢をみせた。
世代を超えて愛される『ターミネーター』シリーズ。大阪コミコンには、親子で会いに来るファンもいるそうで、「当時同じくらいの年齢だったファンたちに会うことがあって、今は彼らが親になり、その子どもたちもファンになってくれているんだ」と嬉しそうな表情で語ったファーロング。「こうして何年も、浮き沈みのある僕の人生を応援してくれたファンがいることは、本当に恵まれていると思う。まるで、もう一つの家族ができたような、そんな温かい気持ちになるんだ」と日本のファンの変わらぬ愛に改めて感謝していた。(取材・文:編集部・倉本拓弥)
「大阪コミコン2025」は5月4日までインテックス大阪で開催中